皐月レター 2022

「黙すれば、肯定~生活の座からの実践躬行~」 

祝町学童クラブ支援員のみなさま

女性はものを知らない存在として男性の言いなりになる都合の良い存在と見なす牛丼チェーン吉野家元常務の発言(4月16日)に悲憤しました。早稲田大学社会人向け講座で「生娘なうちに牛丼中毒にする」「シャブ漬け戦略」「田舎から出てきた右も左のわからない女の子」との暴言は日常的に女性や地方(出身者)に対して見下していたのではないでしょうか。

☆人権意識の欠如には驚嘆でしたが、講座内では笑い声が漏れ、講座のコーディネーターのM教授はこの発言を止めなかったと報道されています。この暴言は属人的な問題として認識するのでもなく一個人の問題ではないことが明白です。講師の発言はおかしいと教室で手を挙げることは難しく、突然の非日常現象に即座に対応をすることは簡単ではありません。

☆同様の風景はイエスの時代でも日常でした。現在もこの日常は変わってはいないのでした。人間が人間として生きる、正しく生きるそして正しい社会とする行動は想像以上に困難極まるものだと痛感しています。生まれながらに持っている権利に対して意識も保障も考え方も皆無であった時代もありましたが、今日、私たちは歴史から学び等しく生きることが保障された生活をしています。

☆しかし、女子は小学校まで通えばよい(アフガン)、米軍基地負担は沖縄任せで無自覚に、ネット上の国内のロシア人への誹謗中傷などなどの人権尊重の現実に穴が開いている時にオブジェクション(異議)と胸を張って言い切れるかと自問自答しています。

☆受講生の女性が大学に抗議しSNSで社会に問うて明らかになりました。勇気ある行動でしたが彼女はツイッター投稿の末尾に「こんな話を書いてすみません」との記述にやるせない思いになりました。生活の中でどのようにすれば堂々と声を挙げ、異議申し立てをすることができるのでしょうか。

☆「釧路ハリストス正教会の内田圭一司祭はロシアのウクライナ侵攻に強く抗議し即時停戦を訴え祈り続けています。そして軍事進攻を擁護する発言を繰り返しているロシア正教会の総主教に『和解と紛争解決』を求めました。その背景は『黙っていたら神に背くことになる』から」(朝日新聞「天声人語」4月17日)でした。デジタル時代のマーケティング講座に参加しおかしいと声を発した女性と、日露の間で苦難の歴史を辿り政治問題に関しては沈黙し続けていたハリストス正教会は、中傷も覚悟をされて沈黙を破ったのです。黙すれば神を裏切り、黙すれば肯定することになると言う義憤(正義)がその行動に繋がったと思います。

☆何か変だな、おや、そうかな、この感性が働く時は非日常と言えます。逆に人が抗(あらがう)わない時は思考停止しているのかもしれません。ペシャワール会・中村哲先生が米軍によるアフガン空爆の時(2011年10月)にも用水路建設を続行したのも武器に抗って鋤と鎌(参照「旧約聖書イザヤ書2章4節」)が人間の命を守ったことを深慮しています。

☆「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」

憲法13条を沖縄本土復帰50年を前にして読み返しました。   


2022年5月10日(火)   

祝町学童クラブ運営委員長 内山賢次

祝町学童クラブ

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