卯月レター 2022

「事例検討のコメントから」

祝町学童クラブ支援員のみなさま                                            

今春みなさまと一緒に6年目を迎えることに感謝の念を抱きます。一人一人のお働きと健康に感謝いたします。

先月は冬の課題レポート「事例検討からの考察」の回答を一人一人にすることができました。課題レポートの提出から2ヶ月の間、どのように回答をすることが皆さんにとって支援力の一つとなるかと逡巡しました。覚悟して、初めての「事例検討」レポートは個別の取り組みであったことを深慮して、一人一人に回答をすることを目指してレポートの行間を読み取る挑戦を始めました。

次にどのような回答がふさわしいか思案し今後の参考となることを願い、皆さんのレポートを①客観的事実②事実(事例)の要点③判断と見解(分析と評価)にカテゴライズして「コメント」を加えました。端的に述べれば批評をした次第です。

その事由は初めての試みである課題の設定の意図がどこまで伝わっているだろうかが前提でした。具体的な事例が掘り下げられることによる子どもとの「対話をするレポート」から気づきが生まれることを強く望みました。

意図をよく理解されたレポートは数本でした。よくぞここまで理解をしていただいたかと嬉しかったです。同時に皆さんが支援員としての自覚と成長を感じた課題レポートでした。その取り組みの過程は支援力が着実に付き自信と誇りに繋がったことと確信し、私たち運営委員会も同様の思いを持っています。

如月レターのタイトルは「事例検討の意味~目標は高ければいいというものではない。だが~」でした。弟子は師匠の力量を超えることはないと言う言葉があります。教える立場の者には日々の研鑽が求められると言う自戒の念と思います。6年目の学童クラブです。目指すべき旗に向かって共に登頂途上姿をキャンバスに描いています。

コメントを抜粋して今月のレターとしてお届けします。ほかの方々のレポート自体を読んでおられない状況で、コメントの抜粋から何を汲み取っていいのか分かりにくいかもしれません。がしかし、NEXTが生まれることに希望があります。

学童での支援活動は一人でできるものではありません。主任も含めて7人の力が総合されて果実になるものです。学校教育では個人プレーは全く通じない世界です。子ども一人一人の成長が図られるチーム力が欠かすことは出来ません。つまり多様な指導者と支援者で構成されているのが教育の現場です。それは学童クラブにも相通じるものです。

チームで力量をつける素材となることを願ってコメントからの抜粋(番号はコメント時の番号です。下線は今回付けました)です。「良質な生活空間づくり」のためのヒントを見つけて頂ければ幸いです。

A先生

5.客観的な分析を通じてこの子どもの言動に驚きを持ちましたが、この暴挙にいとまのない男子を大事に思っておられる。それは何とかしなければならないと言う義務感ではなく、憐れみでもなく、親の立場でもなく、支援員の立場<矜持>から彼を支援しようとしていることを痛感します。

6.どのような支援がよいかその具体的な方策は見つからないが、人格を持つ一人の人間をポジションに置いて支援をするスタンスが確立しています。この姿勢は高く評価いたします。

B先生

3.記述することで信頼関係が構築される具体的な過程が見える化できると思います。この事例を深めていくとどのように信頼関係が生まれてきたのか解明できるのではないでしょうか。4年5年生と関わりと今回の1年2年生との関わりには変化があったと思われます。それは仕掛ける支援員側の変化(指導・支援)だと感じます。この過程を自ら確かめるには、事例検討をしっかりと始めることから可能になります。

6.子どもに関わる職業として「言葉」はとても大事です。言葉で人を死に追いやることもできるからです。現在の子どもたちだけが乱暴な言葉を使っているのではないかもしれません。耐えきれない言葉が飛び交う現場にも遭遇をされてきているのでしょう。そして何とかしたいとお考えかも知れません。

7.乱暴な言葉を集めて記録化をすることも解決の手段かも知れません。

C先生

5.現場には一歩も引けない事例があるのではないでしょうか。子どもの言葉を拾って、また子どもとの言葉の交換を通じて良質な空間づくりに向かう策を見出すことができるかと思います。事実を客観的に記録をする、その事実から見解を述べる。「すんなりと溶け込める」がぎゅーとハグを求める行為の真意は何だろうか、子どもの言葉から発見があるのではないでしょうか。

6.厄介で難しくて面倒です。だからこそやるのです。空を打つことはしません。いや空を打ってもやるのです。この祝町学童クラブにやって来たたまたまの子どもに「いのち」をたたき込むのです。

D先生

4.可能な限りにその状況、現場を再現し書き留める。記録化の作業過程で、その時点での冷静で客観的に子どもを観察あるいは対応した事実の振り返りが可能となる。

次にそれが「判断と見解」に繋がります。つまり、子どもとの関係性を具体的に記録することは自身がとった対応の振り返りとなります。この振り返りの共有化が支援員全体のレベルアップ、力量がついていくことになります。ここに事例検討課題レポートの意図があります。

5.「したいことだけしっかりと主張する」であれば「したいこと」の内容は何であったかその状況、言葉などを記録する。つまり主張の中身を、その発せられた言葉はどのような言葉・発言であったその“事実を書き留める”ことが事例検討の始まりです。

E先生

4.子どもに迎合することなくルールがあることを教えるいい機会でした。自分本位の生き方に葛藤をしているという子ども理解が生じていると思います。その好機をとらえて支援するかスルーをするかの一瞬の選択の連続が現場です。現場から多くを学び私たちも成長をさせて頂いているようです。

5.経緯を一人で抱えることもなく、また主任にお任せすると言う姿勢でないこと、全支援員と問題の共有化を図る姿勢は評価できます。振り返ればあの時こうすればと言う思いは宝となっていきます。毎日が子どもとの真剣勝負ですがメンタルヘルスは大事です。

F先生

2.提案をすることにより先生方の仕事量の増加に繋がるのではないかという懸念と、子どもの安全を守る体制作りの必要性との葛藤があり、後者を優先すべき事柄として判断をされました。その判断の底辺には指導は一人でするものではないという経験則が生かされているかと思います。そして教師集団への信頼が既にあった上での提案であったと認識をいたします。

3.一般論として誰も実行をしなければ一人でもすると言う行動が起きがちですが、合意形成にまで昇華できましたことは評価できます。        

 

2022年4月8日(金)

祝町学童クラブ運営委員長 内山賢次

祝町学童クラブ

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